App ChatはMintegralが世界中のアプリパブリッシャーやディベロッパーと、最新リリースや業界のトレンドなどについて一問一答を行う連載です。私たちはTapNationのユーザー獲得および収益化の責任者であるAnouar Bennattiaに取材を行い、同社の原点やパブリッシングに関する理念、アプリ内ビディング、ハイパーカジュアルゲーム市場の現状などについてお聞きしました。
Mintegral: TapNationのこれまでについて少し教えてください。いつどのように御社は始まったのか、これまでどういったゲームをパブリッシングしてきたのか、御社が重要視している市場はどこなのか、もし可能であれば御社の主要な業績の中で特に誇りに思っているものについても教えてもらいたいです。
Anouar Benattia:TapNationは2019年1月に設立され、パリに拠点を置いています。私たちが最も重要視しているのは常にハイパーカジュアル市場であり、これまで同市場で4本の人気ゲームをパブリッシングしてきました。私たちが特に誇りに思っていることは、世界中の小規模なディベロッパーを、この市場で成功させることができたことです。
Mintegral:御社はどうしてハイパーカジュアルゲームの分野を選んだのですか。TapNationがそのような競争の激しい市場において傑出できたのはどうしてですか。
Anouar Benattia:ハイパーカジュアルの分野はとてつもない早さで成長しています。私たちはこの分野でチャンスを掴みたかったですし、またこの分野に携わりたかったのです。ハイパーカジュアルの市場は常軌を逸しています。競合他社の数は凄まじく、大変革新的なアイデアが数多く存在し、数え切れないほどのスタジオと、数え切れないほどのチャンスがあります。この市場で活動を始めるにあたり、私たちはパブリッシングのプロセスにテクノロジーを重視した手法を導入したいと真剣に考えていました。私たちが突出することができたのは、データに基づく形で反復型開発に注力したためだと考えています。
Mintegral:パブリッシングについてお聞かせください。一部の人は、早さこそ成功の鍵だと言います。このような考え方についてどう思われますか。賛同されますか、それとも反対されますか。それとTapNationにおける一般的な手法はなんですか。パブリッシングするゲームが大成功を収める可能性を最大限にするための、パブリッシングするゲームを選ぶ際のルールや基準はありますか。
Anouar Benattia:もちろん、競争の大変激しい市場において早さは大事です。しかし私たちはそれが成功の鍵であるとは考えません。メタおよびゲームデザインの面においてゲームがより奥深くなるにつれて開発期間は延びており、この分野において一般的に重要視されることは、より多様なゲームを制作することになりつつあります。一方で、私たちTapNationが一番重要視していることは「磨き上げること」です。私たちは品質面で最上級のゲームを市場に出したいと考えています。私たちのルールはきわめて単純です。最初のテストの期間中、ゲームの市場性に対する最初の指標としてインストール単価およびリテンションを確認し、その後で重要業績評価指標を改善するために反復開発を行うのです。
Mintegral:どのようにして効果的なユーザー獲得戦略を構築しますか。また、どのゲームの支援を継続し、どのゲームを打ち切るかをどうやって決定していますか。ユーザー獲得キャンペーンを行うための効果的なツールとしてセルフサービスプラットフォームを使うことについて、どのような考えを持っていますか。
Anouar Benattia:もちろん、私たちの秘密全てを明かすことはできません。それでも私がお伝えできるのは、私たちのユーザー獲得戦略の主要な柱となっているのはテストであるということです。最良の結果を達成するためには、創造的な人々、ネットワーク、様々な国、OS、オーディエンスといった要素全てを綿密にテストしなければなりません。どのゲームをプッシュするか、しないかを選ぶことについては、回答はとても単純です。すなわち、収益性です。あるゲームが私たちの予測で利益が出ないと示された場合、私たちはそのゲームに対する全ての支出を打ち切ります。セルフサービスプラットフォームのおかげで私たちの柔軟性は高まり、多くのテストを実行できるようになり、さらに入札管理をより一層即応的に行えるようになりました。
Mintegral:約50の国で上位10位のチャートに入った御社の最新ゲーム「Sneaker Art!」についてお聞かせください。どのようなプロモーション手法(例:トラフィック購入、インフルエンサーマーケティングなど)を使用しましたか。また、ユーザー獲得に最も有効的だったのはどの手法でしたか。
Anouar Benattia:私たちはいくつかのプロモーションチャネルを用いましたが、ハイパーカジュアルゲームにおいて未だに最も効果的だったのは、Mintegralのようなアプリ内広告ネットワークです。
Mintegral:「Sneaker Art!」のユーザー獲得の初期段階における優先事項はなんでしたか。チャートの上位に入ることや、ユーザー獲得の費用を下げることだったのでしょうか。また、このゲームが上位10位のチャートに入った後、ユーザー獲得費用はどのように変化したのでしょうか。
Anouar Benattia:その両方ともが優先事項でした。しかし、実を言うと最も優先したことは、ユーザー獲得キャンペーンを最適化して可能な限り早く利益を確保することでした。良いゲームがあり、キャンペーンが上手く管理されているなら、いずれ確実に上位に入ることができるものなのですから。当然、上位に到達した後で様々なチャネルのインストール単価が上昇しましたが、オーガニックインストールを生み出せたことで補填されました。
Mintegral:これまででユーザー獲得キャンペーンに最良の結果をもたらした広告形式はどれですか。特定の形式の人気が上がったことはありましたか。もしあった場合、近い将来にその形式により多くの投資を行う予定はありますか。
Anouar Benattia:最善の成果を挙げたのは、もちろんフルスクリーン形式のものです。広告の目的はインタラクションを生み出すことですので、プレイアブルなエンドカードやインタラクティブなエンドカードが、私たちのユーザー獲得戦略においてより重要な役割を果たしつつあるのも事実です。
Mintegral:アプリ内ビディングについてどう考えますか。収益化のための必要性から、この方式に完全に切り替える予定はありますか。もしある場合、アプリ内入札から御社が得られる最大の利益は何になりますか。
Anouar Benattia:アプリ内入札は革新的なものです。残念なことに、私たちはまだアプリ内ビディングへ完全に切り替えることができません。しかしネットワークの大部分において、この題材に関して大きな進捗が見られていますので、2021年にアプリ内ビディングへと切り替わることを私は期待しています。この方式の第1の利点は時間です。なぜなら実行しなければならないウォーターフォール最適化や、修正しなければならない技術的エラーが減るためです。第2の利点は、私たちのユーザーが持つ潜在力の全てから収益を上げられるようになることによる、収益の向上です。
Mintegral:現状のハイパーカジュアルゲーム市場の現状についてどう思いますか。 成長の余地は未だにあると思いますか。将来どのようなトレンドを見ることになると思いますか。
Anouar Benattia:前に話した通り、この市場は常軌を逸しています。この市場にはまだ多いに成長の余地があると私は考えています。その証拠の1つとして挙げられるのが、過去6ヶ月間の市場への新規参入者の存在と、私たちが1年未満で成功を収めることができたことです。オーディエンスがハイパーカジュアルゲーム市場に慣れ、もっと質の高い体験ができる遊びを求めるようになるにつれ、マルチゲームプレイ用ゲームに関する現在のトレンドが高まるのを私たちは目にしてきました。
Mintegral:ゲーム開発プロセス、ユーザー獲得および収益化について成長と改善を図っている他のディベロッパーに対し、どういったアドバイスをしますか。
Anouar Benattia:一般的に言って、今日において最も重要なやるべきことは知識の獲得です。チャート上位にあるゲームは遊べるものは全て遊び、広告ネットワークやパブリッシャー、そしてディベロッパーが発信する記事は全て読み、そしてハイパーカジュアルの文化に真に身を浸すべきです。
Mintegral:2020年の残りの期間は、TapNationにとってどういったものになりますか。御社が現在取り組んでいる大規模なプロジェクトや、今伝えたい興味深い話などはありますか。
Anouar Benattia:2020年の終わりまでにTapNationが出すゲームはまだまだあります。みなさんに遊んでもらえるのが待ちきれない、面白いものがたくさんあるのです。また現在、私たちは初となるHyper Contestの企画に取り組んでいます。これは私たちが制作とテストを行ったモーションデザインから最も優秀なゲームを作成するために、ディベロッパーやスタジオが互いに競い合うという内容になっています。このコンテストは2020年10月に開かれます。この記事を読んでいるスタジオ全てにコンテストへの参加をお薦めいたします。
近日公開予定のApp Chatのインタビューはまだまだあります。もしもあなたがアプリのディベロッパーまたはパブリッシャーで、今後の連載で取り上げられたいとお考えであれば、ぜひMintegralのチームにいますぐご連絡ください!