2020年6月4日に「アプリ内ビディングがもたらすプログラマティック広告の発展(driving Programmatic Growth with In-App Bidding)」と題するウェブセミナーを開催し、パートナーであるironSource、AppLovin、MoPub、Fyber と、アプリビディングが業界に何をもたらすか、その将来の見通しはどのようなものであるかについて議論しました。
セミナーの司会はMintegral事業開発担当シニアディレクターShobeir Shobeiriが務め、以下のスピーカーとアプリ内ビディングについて議論しました。
- ironSource プロダクト担当バイスプレジデント、Nimrod Zuta
- AppLovin プラットフォームMAX担当バイスプレジデント、Dan Sack
- MoPub プロダクト成長グループマネージャー、Jayme Farrell-Ranker
- Fyber Fairbidゼネラルマネージャー、Adam Corrado
それでは、アプリ内ビディングについて議論した内容、このテクノロジーがどんな点で広告主の役に立つのかを見ていきましょう。
アプリ内ビディングの現状は?
AppLovinのDan Sackによると、アプリ内ビディングテクノロジー導入についての現状は会社によりまちまちで、既に導入済みのところもあれば、近い将来の導入を検討しているところもあります。Dan Sackによれば、広告主の多くは混合モデル(メディエーションネットワーク+入札ネットワーク)によって収益を得ており、MAXの場合、広告主の収益の40%~60%はSDK bidderによるものとなっています。
アプリ内ビディングの主な利点は?
参加者たちは次のような利点を挙げました。
- 運用コストの削減:ウォーターフォールの管理には手間と時間がかかり、広告主はそのために多くのリソース(時間、費用、人手)を割かねばなりません。これがなければ広告主はそのリソースを別の分野(例えばチームの拡大や優れた機能を持つ製品の開発など)に振り向けることができます。
- レイテンシの短縮:アプリ内ビディングの特長であるリアルタイムのパラレルオークションは、順番に広告リクエストを出して受け取るプロセスに比べ、各段にスムーズに進行します。
- 取引コストの削減:プログラマティック広告におけるバイヤーと広告主の間に入るブロッカーの数が少ないため取引コストが削減されます。
- ARPDAUの増加:広告主のインベントリーは全参加者に開かれており最高値の入札者がインプレッションを獲得するので広告主の広告収入が最大となります。
- 透明性の向上:広告主は、入札者、各インプレッションの価格などについての豊富なデータに基づき非常に重要な見通しを得て、それをキャンペーンの最適化に役立てることができます。
ARPDAUこそが広告主が注視すべき真の指標であるとの認識が広まるにつれ、アプリ内ビディングを導入した広告主の広告収入はこのテクノロジーに助けられて大幅に伸びました。MoPubのJayme Farrell-Rankerによると、 アプリ内ビディングを導入した広告主のARPDAUは地域で見ても分野で見ても伸びており、中には50%を超える増加を果たした広告主もいます。 ironSourceのNimrod Zutaは、ARPDAUの大幅な増加がすぐには見込めない場合でも、運用コスト削減の効果があるのでそれだけでもウォーターファール型入札からアプリ内ビディングへの移行は広告主にとってプラスであると強調しました。
アプリ内ビディングに関する主な懸念は?
FyberのAdam Corradoによると、 広告主が主に懸念しているのはこの方法を導入するタイミングです。ほとんどの広告主は、マーケットの準備は整っているのか、導入は時期尚早ではないのか、あるいは移行するなら今が良いタイミングなのかなどと考え、判断に迷っています。しかしFyberでは、取引のうち約70%がプログラマティックに行われています。このことからも分かるようにこのテクノロジーは主要プレイヤーの間ではすでに広く使われるようになっています。
ironSourceのNimrod Zutaは、広告主のもう一つの懸念としてアプリ内ビディングへの移行に伴うリスクを挙げました。現在パートナーがいて、現状で物事がうまく進んでいるのに別のテクノロジーを導入するのはリスキーだと感じる広告主もいるでしょう。しかし移行を果たして良い結果を収めている広告主もいます。 Nimrod Zutaは短期間のうちに多くの広告主が彼らに続くだろうと考えています。
アプリ内ビディングの未来は?
アプリ内ビディングが業界の前進を促すことは間違いないでしょう。現在目指されているのは、入札参加企業が増えるようアプリ内ビディングのエコシステムを拡大し、それにより広告主の広告収入を伸ばすことです。ironSourceのNimrod Zutaは広告主及びデベロッパーはアプリ内ビディングの導入を促す力を持っていると語っています。彼らがアプリ内ビディングに対応する広告企業と仕事をすることによりこのテクノロジーの導入率が伸び、結果としてそれが業界全体の利益につながると考えられます。
MoPubのJayme Farrell-Rankerは、広告主にとって透明性は重要だと述べました。ダイレクトディールを希望する場合、透明性がきちんと確保されていれば、ウォーターフォールモデルと比較した場合のアプリ内ビディングの価値がはっきりと分かるからです。彼女の予想では、今年と2021年、アプリ内ビディング対応企業の収入が業界全体の収入に占める割合はアップします。ただし従来型のウォーターフォールモデルが完全に消えることはないでしょう。従って広告主にマネタイズの方法や手を結ぶパートナーを決める力を持たせていくことが重要になるでしょう。
アプリ内ビディングへの移行を希望する企業にアドバイスするとしたら?
このテクノロジーに関心を持つ全ての広告主が取るべきアプローチとして重要なのが適切なパートナーと手を組み、アプリ内ビディングをよく理解し、このテクノロジーがもたらす利益についてもよく理解することです。重大な判断を下す時にはいつもそうですが、A/Bテストは重要です。A/Bテストによってまずアプリ内ビディングが適切なソリューションであるか否かを判断し、それからウォーターフォールモデルからアプリ内ビディングへ徐々に乗り換えていくのです。
Q&A
Q:ファーストプライスオークションモデルはアプリ内ビディングのエコシステムでどの程度機能しているのでしょうか?
A: アプリ内ビディングを導入したほぼ全てのパートナーはすでにファーストプライスオークションモデルを用いており、広告主は完全な透明性のもとで各企業の入札価格を知ることができています。年末までにファーストプライスオークションが業界の標準購入メカニズムとされる見込みです。
Q:充分とみなされる入札者数は?
A: 充分とみなされる入札者数は相対的なもので、広告主自身やその目標、その他多数のファクターに左右されます。広告主は特定の入札者数に注目するのではなく、第一層(明らかに購入が見込めるバイヤー)を見つけ、インベントリーを確実に最高価格で売ることに努めるべきです。そしてこの時役に立つのがアプリ内ビディングなのです。
Mintegralはアプリ内ビディングのキーパートナーです
Mintegralは次のような業界最大手プレイヤーと提携してきました。
- ironSourceのLevelPlay
- MoPubのAdvanced Bidding
- AppLovinのMAX
- FyberのFairBid
- TapjoyのTapdaq
Mintegralはアプリ内ビディングの未来を信じており、この新しいテクノロジーによる業界の成長を見るのを楽しみにしています。
アプリ内入札について
アプリ内ビディングはアプリ収益化の次なるステップです。このプログラマティックな先端的入札テクノロジーによって、複数の広告ソースが広告主のアプリ内インベントリーに同時並行的に入札することが可能になります。最高値での入札者がインプレッションを獲得するので、このテクノロジーによって広告主は自身の広告収入を最大化することができます。
Mintegral YouTubeチャンネルでウェブセミナー全体を無料で見ることができます。以下の動画をご覧ください。